▲たもつ ゆかり氏

男女共同参画政策、自治体の総合計画策定、地域づくり、人材育成等の企画・アドバイス等を実施。民間と行政をつなぐコーディネーターとして活躍している。

鹿児島県男女共同参画審議会委員。鹿児島市市民参画推進に関する市民会議委員。日本放送局(NHK)経営委員会委員など。

基調講演「多様なライフスタイルを受容できる社会をめざして」

◆女性として幸福に生きることへの壁

厳格な家庭に育ち、両親に大切に育てられてきた。しかし、ひとりの男性と出会い子どもを授かった事で、社会の様々な壁に出会った。家族からは祝福されない一方で、周囲からは「女の幸せは子どもを産むこと」と言われ、それを受け入れられない自分がおかしいのではないかと悩んだ。

1975年当時はフェニミズム全盛期であり、様々な婦人講座を受講してみたが、なかなか答えを見出す事ができなかった。

◆私は物書きになれるかもしれない

生まれてくる子どものために自立した人間でありたいと願い、自分に何ができるか真剣に考えるなかで、高校時代の教師に自分の書いた文章を名文であると認められたことを思い出した。自分には文章を書く力があるのかもしれないと思い、当時の鹿児島にはまだいなかった女性コピーライターを目指し、物書きとしての道を歩むこととなる。

徐々に働く女性の増えてきた時代ではあったが、まだ女性の生き方の基準は専業主婦であり、子どもを保育所に預けて働くことは困難だった。自分の納得のいく保育所を探し回り、働く環境を整えたが、世間の冷たい視線に負い目を感じながら働いていた。

◆この社会はおかしい!

この日本で誰が幸せに生きているのだろうか?戦後、経済大国にはなったが、過労死(KAROUSHI)という言葉が生まれるほど働き続け、誰が幸せになったのだろうか?憲法で保障されているはずの幸福を追求することが、何故、こんなに困難なのか?

個人的なことは社会的なことであり、多様な生き方を認められず、枠にはめようとする社会がおかしいのではないか、ということに気がついた。ただ、不平不満を言うのではなく、社会を変える側に立とうと決め、「保育問題研究所」を立ち上げた。個人の問題を社会化することで、ものの見方が変わってくる。

◆男性・女性のアイデンティティ

女性は、結婚して子どもを産むことで、自分の時間が持てなくなり、それを当然のこととして押し付けられる。そのためなんとなく生きる事が辛くなってしまう。 一方、男性は、自分を押し殺して、社会のため家族のために働き続けてきて、自分が何者かわからなくなってしまう。

どちらもジェンダーに縛られ、自分のアイデンティティを喪失してしまうという点で共通している。ジェンダーストレスから抜け出して生きることが、幸せに繋がる。

◆自分は何なのだろう?

社会のためと大儀を掲げる前に、まず、自分自身のために社会に幸せを訴えていくべきではないか。そうすることで、自分と同じ問題で苦しんでいる人に気づき、社会との接点が生まれる。こうして人は個として自立した関係を作り出し、お互いが個性を発揮しあうことによって、未来への真の力は生まれる。

文部科学省 平成16年度 男女の家庭・地域生活充実支援事業
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